2023.04.14
底冷えで知られる京都の冬も終わり、日差しが心地良い春がやってきました。
花粉症で鼻や喉が痛いけれど、つい外に出たくなってしまうのが春の魅力。お天気の良い日に、西陣にある桜スポットと史跡を探しながら街歩きをしました!
「堀川北大路」の交差点近くからスタート!
まずは「堀川北大路」の交差点より、少し上がったところにある紫野柳公園からスタート!寄り道しながら、堀川通をたよりに「一条戻橋」を目指します。
紫野柳公園は何度も通ったことがある場所で、実は公園の中に石碑があるんですよね。いつも「なんの石碑なのだろうか」と気になっていたので、のぞいてみます。近づいてみたら、「池田新兵衛・舩越嘉右衛門顕彰(けんしょう)碑」と書かれていました。この石碑は、区画整理の業績を称えるために建立されたものだそう。
公園の遊具の間に建っており、存在感抜群
堀川通に戻って、西側を3分ほど下ると、右手に「小野篁卿墓(おののたかむらきょうのはか)・紫式部墓所」と書かれた石碑が見えてきました。紫野エリアは、紫式部の生誕の地といわれているそう。「紫野(むらさきの)」という地名は個人的に響きが美しくて気に入っていましたが、まさかそんな縁(ゆかり)があるとは知りませんでした。
石碑や墓石は奥まった場所にあり、交通量の多い堀川通沿いからは直接見えません。誰もが知る紫式部の史跡なのに、わかる人にだけわかる場所にあるのが京都らしくて良いなぁと感じました(たまたまかもしれませんが)。
堀川通から奥まったところにあるので、気付かず通りすぎてしまいそう
本法寺の満開の桜は、息をのむ美しさ
続いて、堀川通から少し東に移動して、小川通を歩きます。寺之内通からすぐ北に上がった小川通の周辺は、三千家や寺院が集う静かな場所で、お散歩などにもうってつけ。石畳の道に京都ならではの町家、茶道具のお店などが立ち並び、風情を感じられます。我々も、移住後に見つけてからは気に入って、よく足を運んでいる場所です。
小川通を歩き、まずは本法寺へ。敷地内には、さまざまな種類の桜が植えられており、満開の時期には見事な光景が見られます。
この日は観光客の方が少なく、近所の方々がゆっくりと桜を見に来ていました。美しい桜を静かに眺められるので、個人的にはここの桜が京都で1番気に入っています(本記事で来年混んでしまったらどうしよう……笑)
落ち着いて静かに桜を眺められます
本法寺を出て小川通を下ると、1分ほどで寺之内通に突き当たります。この小川通と寺之内通がぶつかる場所は、「百々ノ辻(どどのつじ)」とよばれます。かつては小川が流れていて百々橋(どどばし)がかけられていたそう。昔の戦乱時代に、この百々橋を境にして東が東軍、西が西軍の陣地だったとのことで、これが西陣の名前の由来にもなっています。
この百々ノ辻に1本だけ立っている桜も見事な美しさ。道行く人々が皆、足を止めて眺めていました。私も歩き疲れたので、この桜の下にあるベンチで一休み。ちらちらと散り始めた雪のような桜が何とも綺麗でした。
ちょうど小川通の突き当たりにある百々ノ辻
その百々ノ辻の桜から2分ほど歩くと見えてくるのが妙顯寺(みょうけんじ)。
ここも敷地内のあちこちに桜が美しく咲いています。和装の結婚写真の撮影をしている方も。挙式・披露宴で着る色打掛(いろうちかけ)と桜がすごく素敵な組み合わせで、思わず見とれてしまいました。京都の桜で結婚写真を残すなんて素敵ですよね。
このお寺は、「こちらの記事」内でも紹介している「まるごと美術館」の会場でもあります(春と秋の年2回開催)。
入口のしだれ桜も見事
有料の庭園を含めると敷地はとても広い
秋の時期は、紅葉のライトアップも行われていて、桜の時期とはまた違う美しさを味わえます。
桜の時期の様子
紅葉の時期にライトアップされている様子
快晴の堀川通を歩く
一条戻橋まで、あとわずかでしたが、ここまで来たらやはり行っておきたいのが晴明神社。陰陽師で有名な安倍晴明を祀っている神社とだけあって、人で賑わっていました。
晴明神社の象徴「五芒星」が至るところに
境内でひときわ目立つのが、この「厄除桃」。陰陽道では、桃は厄除けの果物とされており、この厄除桃を撫でることで自分の厄を桃に移すことができるといわれています。
ここ数年、体調不良が続いていたので、健康になるようにしっかりと桃を撫でてきました……!効果がありますように。
五芒星の上にある桃、何だか可愛い
晴明神社を出て、堀川通の反対側に渡ると、目的地の「一条戻橋」に到着!
桜のふもとには看板が
この辺りは、有名な早咲きの河津桜をはじめ、堀川沿いにさまざまな種類の桜が植えられており、界隈では有名なお花見スポットです。この日にはもう散ってしまっているものも多かったものの、まだ見頃の桜たちもございました。学生や家族連れが、堀川沿いのコンクリートに座って桜を楽しんでいました。
堀川を優しく覆う桜
帰りは大宮通沿いに、ゆるりゆるりと「堀川北大路」まで戻りました。
これを読んでいる方々はすでにご存知とは思いますが、「西陣」って行政区ではなく、地域の名称なんですよね。恥ずかしながら、私自身も移住するまで知らなかったことでした。
ただ、「西陣」を示すものって、お店や病院などの店名や名称に入っている程度で、何か石碑のような象徴的なものはないだろうかと地図を見てみたら!どうやらこのあたりに、いくつかあるそうで。帰りに立ち寄れそうな1つに行ってみることに。
京都市考古資料館の目の前にありました、石碑!
このへんよく通りかかっていたはずなのに、気が付かなかった……!
これをみると、改めて「西陣」に住んでいることを実感できますね
大宮通には、地元民に愛される商店がたくさん
大宮通を北に進み、北大路堀川の交差点方面へ戻ります。この大宮通には昔ながらの飲食店や喫茶店、お総菜屋さんや銭湯、文房具屋さんなどが立ち並び、何ともレトロな雰囲気が気に入っています。
この辺りは、地元の方々の生活の場という感じがして落ち着くし、京都の日常を知ることができて、発見が多いですね。
小道を入り、ウロウロしていると、何やら面白い看板が。
「弁慶腰掛石」なる文字が見えます。石はお店の中庭にあるらしく、残念ながら姿を確認することはできませんでした。弁慶が待ち伏せするために腰かけていた石なので、この名がついたとか。
弁慶といえば、誰もが知っている歴史上の人物。そんな人物にまつわるスポットが住宅街の中に突然現れるのも、京都ならではの面白さかもしれません。
静かでゆったりした西陣の住宅街は、とても歩きやすい
この日は春なのに初夏のような暑さで、筆者の私は完全にバテてしまいました(苦笑)。しかし、近所にここまで歴史あるスポットや桜スポットがあることに、あらためて感動を覚えました。まさに「千年の都」に住んでいるんだなと実感します。
特に史跡は、住宅街にひっそりと佇んでいて、気を抜いていると見逃してしまうものも多く、宝探しみたいでとても楽しいですよ。
今年は、早く咲いてしまったため、残念ながら桜のシーズンは終わってしまいましたが、来年のお花見スポットの参考になればうれしいです!
もちろん史跡は、季節問わず見られるので、ぜひお散歩しながら探してみてくださいね。
<今回、紹介したスポット>
・池田新兵衛・舩越嘉右衛門顕彰(けんしょう)碑
・小野篁卿墓(おののたかむらきょうのはか)・紫式部墓所
・本法寺
・妙顯寺(みょうけんじ)
・百々ノ辻(どどのつじ)
・晴明神社
・一条戻橋
・西陣碑
・弁慶腰掛石
日々西陣、来月もまたお楽しみに!
(執筆・俵谷夫妻)